73号から

関西大学に日本刀研究会設立

昨年十月十七日に関西大学に日本刀研究が設立されました。

趣意書
 三種の神器の一つに「草薙の剣」があるように、わが国では、昔から刀剣は神聖なものと考えられてきました。神の依(よ)り代(しろ)、すなわち神さまが宿る場所と見なされたわけです。 時代が下がり、武器として使用することに重きが置かれた時代もありましたが、再び平和な時代が訪れ、実用の武器から距離をおくようになっても依然、「刀は武士の魂」として精神的な拠り所であり続けました。
 現代社会では、刀剣に実用性を求めることはなくなり、文化財や美術工芸品として位置づけられるようになりました。しかし、今もなお、日本人の精神性の奥深いところで影響を与えていることはまちがいありません。
 このたび、関西大学で日本刀研究会を設立するに至ったのは、河内國平刀匠が学生時代に、恩師である末永雅雄教授(のち名誉教授)から、関西大学に日本刀を研究する会を設置し、後進の育成に努めるよう薫陶を受けたことによります。 かつては国内のいくつかの大学で日本刀研究会が存在し、活動を続けていましたが、会員数が減少したことなどから、現在は活動を停止しています。
 そのため、本日発足した関西大学日本刀研究会は、日本で唯一、大学で活動する研究会と言うことができます。
 本研究会は、学生が主体的に活動する会であることをめざしますが、卒業生をはじめとする関係者も積極的に援助することを惜しみません。
 研究会では、単に刀剣に関する知識を学習するだけでなく、間近に刀剣を鑑賞して美の真髄に迫り、さらには実際に刀剣を取り扱うことのできる人材を育成することにも重点を置きたいと考えています。
 刀剣は神の依(よ)り代(しろ)という日本人の精神性に深く根づくものであるために、それに接する際には、おのずと礼儀作法もわきまえなければなりません。美しい所作を求めることは心の鍛錬にもつながります。それが日本の伝統を重んじることであり、本研究会では、そうした精神的なものも追求できたら、と考えています。
 本研究会が末永く活動を続け、次代の日本刀研究者を輩出するとともに、いつの日か、刀剣やその周辺のものを総合的、学術的に研究する「日本刀学」もしくは「刀剣学」といった研究領域が確立できれば、とも思っています。それも、この研究会がいだく大きな夢の一つなのです。
 今度呱々の声をあげた研究会ですが、やがては関西大学に日本刀研究会あり、と言われる存在になることを願ってやみません。会の発足にあたり、活動の主旨を記し、設立のことばといたします。

役員
会長:河内國平氏  副会長:池永順一氏 
事務局長:熊博毅次長 庶務:渡邊モモ氏
顧問:米田文孝文学部教授 大仲土和大学院法務研究科教授・
名誉顧問:寺内俊太郎関西大学校友会長