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佳兆(かちょう)

36号から
 
弟子 藤田國宗
第六回吉野会報告
  去る、平成十八年八月十九日、二十日の二日間、東吉野村の國平鍛刀場に於いて第六回吉野会が実施されました。 二時の集合に始まり、新作刀展出品の刀を持ち寄り古作と比較しながら互いの刀の評価を述べ合いました。 総評として、今回高見國一氏の「刀匠会会長賞」、初出品にして「努力賞(新人賞)」に入った小宮國天君の太刀、残念ながら入賞を逃した刀匠も、ほんのわずかの差で入選となり、全体として一門の作刀技術の向上が顕著であった事が伺えます。 では、これから「名刀」を作るには何が必要か、が共通の課題となり各自思い思いの考えに花が咲きました。 次に新弟子の「柴山君」「菅野君」「岩崎君」の自己紹介がありました。 各々の先輩刀匠からは、今後の厳しい修行の話が冗談を交えながら話され、新弟子に対して激を飛ばしておりました。 夕方となり食事を兼ねての座談会に移り、ここでは一年間の作刀の反省、刀の売れ行き状況等が話題になりました。 次いで、来年に開催が予定されています徳島県海陽町での「国民文化祭」にお  ける刀匠の講演並びに、作刀実演の説明と経過報告、また、リトアニアに於ける二回目の訪問日程と活動内容、それから東京での一門展開催に向けての段取り、必要事項が報告されました。 続いて一門会のこれからの活動、発展に向けて、規約が承認され初代会長に高見國一氏が選任され、二年の任期を務めることになりました。  また、弟子の動向として本年六月に挙式した私こと藤田と、八月末に挙式を予定している小宮君の結婚の報告がなされました。   一通りの報告、打ち合わせ 事項が終了しましたが、や はり最後に落ち着く所は作 刀の話になり、杉浦氏より 「鍛錬」「焼入れ」「造込 み」などの基本技術は高水 準に達しており、作風に多 少の違いはあれども焼刃、 地鉄、の状態は殆ど同レベ ルに達しており、そろそろ 各々の「色」というものを 出してゆく時期に来ている のではないか、という意見 が出されました。 魅力ある刀とはどういう ものなのか、言換えるなら ば、どういう刀が名刀なの  か、その要素は何か? 作刀することの一定の技術を取得した今日、原点に返って検証し直して行くことの大切さが求められていると思います。よく『日本刀と はどういう物を指 すと思われます か?』という質問 をされます。 昨今近隣の国で 日本刀の様な姿を した「刀もどき」 が大量に安価に製 作され、これが日 本刀だと世界に売 りに出されていると聞きます。 日本の刀剣製作の技術は、二千有余年の永き歴史を有し、知識と知恵を駆使しながら改良と変遷を続け今日に継承されております。 その技術の高さは世界に例を見ないことは周知の通りであります。 また我々の遠い祖先は刀剣に強い生命力を見出しその力によって不祥なる事から守護されるとの考え刀を敬い大切に保存して参りました。 さらに刀剣に日本人独特の審美眼による奥の深い幽玄の美を求めこれを鑑賞し 心の糧として参りました。 これらは決して絶やしてはならない重要な日本の文化であり、次の世代に正しく伝えなければならない責任があると思います。 願わくば、作刀活動に深い御理解とご支援を賜りますようお願いして報告とさせていただきます。