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佳兆(かちょう)

   
  25号から
特別展示「日本刀に近づく」終了に寄せて
 
大阪歴史博物館 内藤直子
 
 

 大阪歴史博物館では、平成15年9月10日〜10月27日まで、特別展示「日本刀に近づく」を開催しました。
 テーマは「日本刀をめぐる職人の技」の紹介であり、刀鍛冶・研師・白銀師・鞘師・鞘塗師・柄巻師の六種の職方の技術や技法、完成品を六つのコーナーで紹介し、最後に博物館が所蔵する「拵
(こしらえ)」と「刀身」の優品を紹介しました。
 今回の展示の発端は、平成十三年にさかのぼります。大阪歴史博物館は前進である大阪市立博物館のリニューアルによって、二年前にオープンしましたが、新博物館の基本理念の一つに「参加体験型」があり、来館者が実物にふれることが出来る「ハンズ・オン」と呼ばれる手法を推進しておりました。
 ただ、展示資料の中でも美術資料は貴重なものが多い上、特に刀剣は、刃物としての危険性もあり、不特定多数への体験的公開は不可能であろうと考えておりました。
 しかしその一方で、日本刀の魅力とは光の当て方で見え隠れする地鉄や刃文の見せる多様な表情であって、日本刀を知らない方にケース越しでその魅力を知ってもらうのはあまりに難しく、、本当ならば日本刀の研究月例会のように、実物を手にしてもらえばと思っておりました。
 そこで、ウルトラC的に思いついたのが、手に取れる大きさの「刀剣標本」です。
 刃が付いていると危険なので、刃を引いた刀身を十cm程度に裁断し、手に取ってみてもらおうというものです。
 しかし、あまりにも大胆な試みすぎて、高名な方に頼むのを躊躇していたところ、河内國平刀匠なら快く受けて下さるだろうとのご助言を受け、おそるおそる相談を致しましたところご快諾、さらに、刀身以外にも分野を広げようとのご提案をいただき、他の職方さんにお声がけをしていただきました。
 そしていろいろな試行錯誤の末、完成に至りました。
 さらにそれを収めるケースにもこだわりました。引き出しケースによる展示です。引き出しを開けると、刀身がまるで標本のように納められている、そういうイメージで作ったのですが、まさにその通のものが出来たと思っております。
 今回は、展示の発お披露目ということもあり、作成にご協力いただいた七人の職方さんにその技術を見せていただく三回シリーズの事業も開催し、多数の方々が毎回異なる職種を堪能されました。
 特に「下研ぎ(したとぎ)」「銘切り」「切羽(せっぱ)」については、来館者自身が体験出来る要素を入れていただき、大いに盛り上がりました。
 研ぎの「構え」自体ができない、あるいは、簡単に見える切羽の鑢(やすり)がなかなかきれいに出来ない、など、自分が体験することで、改めて仕事の難しさを理解し、何気なくそれらをこなすことができる職方の技術力というものに改めて気づいていただけたのではないかと思います。
 以上、ごく手短ではありますが、今回の展示のご報告と盛会御礼を申し上げる次第です。